16歳

2004年1月14日
 
久しぶりに逢った甥っこが、
随分大人びていた。
 
兄貴が離婚してからは逢う機会が殆ど無い。
 
髪の毛がツンとそそり立っている。
合皮のライダースもどきに、
首にはシド・ビシャスの様なネックレスを。
 
“カッコイイ奴しとるやんか”
“うん”
“シドのネックレスか?”
 
奴の目がキラキラした。
 
“うん。知っとぉと?”
“当たり前やないか。おいちゃん、ロックンローラーやぞ”
“おいちゃん、ロカビリーや無かったと?”
“ロカビリーもロックンロール。パンクもロックンロールよ”
“ふーん”
“お前、幾つになった?”
“16”
 
鮮明に甦って来る、16歳の記憶。
 
“ピストルズ、好きなんか?”
“うん。カッコイイ”
“シドはな、自分の事をロックンローラーだって言ってたんだぞ”
“そうなん?”
“死ぬ迄”
“お父さんとおいちゃんがリーゼントして二人で写った写真見たよ”
“・・・”
 
掛ける言葉が見つからない。
16歳の頃、俺はもっと捻くれていた。
こんなに素直に喋れなかった。
この子は素直に育ったんだなと思う。
 
“悪さ、すんなよ”
“せんよ。心配せんでも”
“そういや、何が悪さか、まだ解らんか”
“お父さんやおいちゃんよりは知っとうよ”
“バカこけ”
 
奴が帰った後、兄貴に言った。
 
“素直に育っとうやん”
“おお。彼女のお陰やけどな”
 
兄貴を羨ましく思った。
 
 
 

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