カニ
2003年10月16日千鳥足で市場の通りへ。
目の前に、何か動くものが。
しゃがみ込んで、ジッと見る。
カニだ。
手のひらくらいのカニ。
何処かの店から、上手い事逃げ出したのか。
俺に向かって戦闘体勢をとる。
指で突っついてみた。
体を起こしはさみを大上段に構え、体を揺すっている。
へへ、この野郎、いっちょ前じゃんか。
立ち上がって、カニの目の前で、靴のつま先を振ってみた。
両のはさみで靴をガシッと挟む。
小さなはさみは靴を掴みきれない。
足を浮かせるとコロンとカニも落ちた。
また、つま先を振る。
また、しがみ付いてきた。
また、コロンと落ちる。
もう一度しゃがみこんで、話しかけてみた。
“おう、がんばってんじゃねぇかよ。お前、どうしたいんだよ”
カニが返事をする訳も無く、相変わらず戦闘体勢のままだ。
指を出したら挟まれた。
“がんばって、逃げろよ”
カニはずっと、戦闘体勢のままだった。
コメント