折れない心
2003年3月16日小路 晃
格闘家 29歳
国内の試合では、2年以上勝ち星に恵まれていない。
「もう、辞めちまえ!」
「お前の試合は、つまんねぇんだよ!」
「もう、出て来るな!ロートル!」
数万人の観客から容赦無く浴びせられる、
罵声と怒号、そして野次。
“もう、いくら練習しても勝てないんじゃないか”
“何としてでも勝ちたい”
揺れていた。
自分を信じるしか無かった。
自分を追い詰めて、
自ら退路を断って、
たった一人でアメリカに渡った。
変わりたい。
強くなりたい。
試合がしたい。
勝ちたい。
3月16日 PRIDE25 横浜アリーナ
対アレックス・スティーブリング戦
逃げない。
後ろに下がらない。
いつも決めている。
打ち合う。
倒れろ! 倒れろ!
パンチ。
決めきれない。
諦めない。
チョークを狙われる。
凌ぐ。
「ショウジ! ショウジ!」
観客の大コール。
パンチ。
パンチ。
倒れろ! 倒れろ!
パンチに抉られる。
膝蹴りが刺さってくる。
折れそうな心。
諦めたく無い。
諦めない。
パンチ。
パンチ。
判定 2-1
勝者 小路
吠えた。
涙が出た。
止まらない。
帰ってきた。
やっと、戻って来れた。
自分の居場所。
おめでとう。小路。
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