青春ドラマ

2003年1月23日
 
熱でぼーっとしたまま眠りにつくと、
なんでだろう、
忘れてた事を、沢山思い出す。
 
 
 
 
 
予定日は、俺の誕生日と同じ日だった。
 
里帰り出産って奴を選択した彼女は新潟の実家に帰っていた。
 
予定日迄、あと1週間くらい。
 
「その日」も、
もうすぐ父親になる事をネタに酔っぱらい野郎と化していた。
 
ぐでんぐでんのまま、ふとんに入る。
 
・・・・・・・・・。
 
朝方、4時前、電話が鳴る。
 
「これから、入院する」
 
彼女の父からの冷たい声。
 
“俺が一番最初に子供を抱く”
 
俺は、枕元に用意しておいたビデオカメラを掴むと、
一目散へ駅へと向かう。
 
駅のシャッターは降りている。
 
“開けろーっ!”シャッターを叩き続ける俺。
 
何故か。それは、まだ酔っているから。
 
更にシャッターを叩き続ける俺。
 
俺に声をかける奴が居る。
 
無視して、更にシャッターを叩き続ける俺。
 
強い力で腕を引っ張られる。
 
俺 “何しよるんか、貴様ん!”
 
そいつ“ちょっと、交番まで来いっ!”
 
おまわりさんやんか! なんで? 子供が生まれるんよ!
早よ行かな、いかんのよ! 俺がなんか悪い事しよるんか!
 
“始発前、シャッター閉まってて当然だろう。
    それに、お前のその格好は誰が見ても怪しすぎる!”
 
我に帰る。
 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
 
頭ぼさぼさ。酒の匂いプンプン。
パジャマ代わりのスェット上下にピカピカのラバーソウル。
肩からはビデオカメラ斜めがけ。
捨ててあったボロボロのチャリンコに乗って来てる。
 
確かにアヤシイ。アヤシ過ぎる。
 
交番で一頻り説教された後、一旦家へ帰る。
 
きちんと身支度をして、新潟へ急ぐ。
 
 
 
俺が、新潟の病院に到着した時、
彼女のオヤジが満面の笑みで子供を抱いていたのは言う迄も無い。
 
 
 
 
 

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