Revenge

　
　　　　　　　　　　　　良し、上手くいった。
　
　　　　　　　　　　　手応え十分。　反応上々。
　
　　　　　　　　　　　　　　戦闘開始だ。
　
　　　　　　　　　　俺は、欲しい物を手に入れる。
　
　　　　　　　　　　俺は、その為に、生きている。
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　　　　　　　新幹線で、東京駅に向かうと、いつも思い出す。
　
　　リーゼントに革ジャンで、ボストンバッグ一個で上京したあの日。
　
　　　　　　　　　　　車窓から見える東京タワー。
　
　　　　　　　　　　　　埋め尽くすビルの群れ。
　
　　　　　　　　　　　　　“やってやる”
　
　　　　　　　　　　　“俺はこの街でやってやる”
　
　
　
　
　
　　　　　　　　　　　　何も持って無かった。
　
　　　　　　でも、やりたい事だけは、抱えきれない程あった。
　
　　　　　　　　　　　　　燃えていたあの日。
　
　　　　　　　　　　　欲と野心の固まりだった。
　
　　　　　　　　　　　　　　熱かった俺。
　
　
　
　
　
　　　　　　突っ走って、止まれなくなって、ひっくり返って、
　
　　　　　　　　　気がついたら、何も残って無かった。
　
　　　　　　　　　　　夢見てた筈の自分の家庭も。
　
　　　　　　　　　バブルに乗って作った、個人事務所も。
　
　　　　　　　　　　　　勝手に、街を恨んだ。
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　　　　　　　　　　　　　　あれから。
　
　　　　　　　　這い上がる準備に時間を費やしてきた。
　
　　　　　　　　　　　　　　いくぞ。
　
　　　　　　　　　　　　そろそろいくぞ。
　
　　　　　　　　　　　　腹は決まっている。
　
　　　　　　　　　　　　　やってやる。
　
　　　　　　　　　　　　　　見てろよ。
　
　　　　　　　　　　　　　機は熟した。
　
　
　
　
　
　　　　　　　　　　俺は、欲しい物を手に入れる。
　
　　　　　　　　　　俺は、その為に、生きている。
　
　　　　　　　　　棺桶まで、自己矛盾を抱えて行く。
　
　　　　　　　　　　　　腹は決まっている。
　
　　　　　　　　　　　　　やってやる。